極上の睡眠~トップ・スペシャリストによる快眠コラム
連載第15回:トップ・スペシャリスト

板東浩
医学博士
日本統合医療学会四国支部長
徳島県糖質制限研究会代表
「あなたの腸の調子は良いですか?」
「はい、超元気!?」
「腸元気が理想ですね」

私たちは日々食事をして必要な栄養を摂取しています。
ヒトが生きていく上で、栄養分を消化吸収している腸が、実は、免疫を維持する役割も果たしているのです。
今回は「腸」のテーマでお話します。
-目次-
1.「腸」の表面積はどれくらい?漢字の由来は?
漢字「腸」の由来

左側は偏の「月(にくづき)」で、身体の一部を意味します。
右側には旁(つくり)の「昜」があり、「太陽が地上にあがる」ことで、「日があがる、伸びあがる」状況から、「のびる大腸・小腸・はらわた」を意味しているのです。
腸の表面積はどれくらい?
そういえば、あなたの腸はぐっと伸びて表面積を広くさせ、頑張って仕事をしています。
どれくらいの広さと思いますか?
大腸の内壁を全部広げると、表面積はテニスコート半面分(約栄養100 ㎡)となり、小腸はその2倍、テニスコート1面分(約200 ㎡)にもなるのです。

2.腸内フローラと腸内細菌
「第3の臓器」と呼ばれる理由

腸内フローラとは?
小腸と大腸は筒(つつ)や管(くだ)のような形ですね。
ここに多くの細菌が生息していて、大切な役割を演じているのです。
多種多様な細菌は種類ごとにグループを作っていて、顕微鏡で腸の中をのぞくと「お花畑(フローラ)」のように見えます。
そのため、「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれてきました。
この難しそうな漢字「叢」は、丵(さく)(草が乱れ生えているさま)+取(シユ、ソウ)の成り立ちで、くさむら、むらがるという意味です。
「第3の臓器」と呼ばれる腸内細菌
腸内フローラの種類は1000種類以上で、その数は約100兆個と数えられません。
大腸に棲む細菌の総重量(約1~1.5kg)は肝臓の重さと同じほどなのです。
その働きが人の健康に密接な関わりを持つことから、腸内細菌は「第3の臓器」と呼ばれることもあります。
3.腸内細菌の役割―代謝を助け免疫アップ
腸内細菌の代表的な役割として、以下が挙げられます。
エネルギーを作る
脂肪やビタミン、ホルモンなどの代謝を助ける
肥満を予防
有害な病原菌やウィルスと闘う
消化管のリスクは、食べ物と一緒にあらゆる外敵が入ってくることです。
そのため、病原菌やウイルスなどと闘う「免疫」機能が必須です。
実際に、腸は免疫力を上げて感染症を予防してくれます。

最近の研究で、腸内フローラと病気との関係が明らかになってきました。
腸の病気だけでなく、動脈硬化、糖尿病、アレルギー、鬱、リウマチ、認知症なども関わってきているのです。
腸内細菌(善玉菌)を増やし、病原菌やウイルス(悪玉菌)と闘う力=免疫力をアップすることで、様々な健康効果が期待できます。
4.腸内フローラを改善するには?
食生活で改善!「短鎖脂肪酸」と「乳酸菌」を増やそう
良い腸内フローラを得るには、常に食事を含む生活習慣が大切。
農耕民族の日本人は太古の昔からバラエティに富む食材を摂取してきました。
そのため、日本人のフローラには特徴がみられます。
ただ、食生活やライフスタイルの欧米化で変化しています。

ポイント① 短鎖脂肪酸
大切なポイントは、細菌から産生される短鎖脂肪酸。
これは免疫を活性化し、悪玉菌の働きを抑え、善玉菌を増やしバランスを保ってくれます。素晴らしいですね。
サラダなど繊維質のものを多く摂取すると、これを材料として単鎖脂肪酸が作られますからおすすめです。

ポイント② 乳酸菌
また、フローラの改善には、乳酸菌やポリフェノールなどが有効です。
フローラにプラスとなるのが、乳酸菌です。
乳酸菌を多く含む食材としては、乳製品やチーズ等の摂取が効果的です。

ここで、最近のトピックスとして、乳酸菌B240を紹介しましょう。
これはタイの北部地域で、伝統的に食されてきた発酵茶「ミヤン」から発見されました。
乳酸菌B240が有する特徴を示しましょう。
粘膜で細菌など病原体を捕まえて侵入を防ぐように、免疫物質のIgA抗体を分泌して撃退。
唾液などムチンの分泌を増やし、粘膜の乾燥を防ぐ。
B240の摂取量が多いほど風邪のリスクが低下。
なお、B240は本邦でBody Mainte※というスポーツ用ドリンクとゼリー(ヨーグルト風味)に含まれています。
※ Body Mainteは大塚製薬の商品です
最後に…
腸内フローラは、国や食習慣、食事内容、個人によって千差万別であり、いろいろな乳製品が多様に関わります。
胃腸の調子が良ければ、免疫の力や規則的な生活習慣も保たれることに。
快調、快腸、快眠とともに、身体的・心理的・社会的な健康をつなげて、豊かな生活を送ってください。

極上の睡眠~トップ・スペシャリストによる快眠コラム
連載第15回は、板東浩先生による「腸内環境を整えて不眠改善!|免疫力アップ|乳酸菌で腸内フローラを整える|おすすめの食べ物は?」でした。
1.「腸」の表面積はどれくらい?漢字の由来は?
2.腸内フローラと腸内細菌―「第3の臓器」と呼ばれる理由
3.腸内細菌の役割―代謝を助け免疫アップ
4.腸内フローラを改善するには?―食生活で改善!「短鎖脂肪酸」と「乳酸菌」を増やそう
今回のおすすめ音楽
免疫力活性のためのヒーリング
自然音と織り混ざり心地よく響く、アンビエント・ミュージック。
リフレッシュ感を与えてくれる大自然の爽やかなサウンドが気持ちを穏やかにし、免疫力を高めるのに役立ちます。
おすすめ食品
眠りと癒しのセレクトショップ RELAX WORLDでは、
北海道の乳製品を取り扱っております。
今回のコラムに関連したオススメ食品をご紹介。
おいしい乳製品で乳酸菌を増やし、腸内環境を改善!
【トップ・スペシャリスト プロフィール】
板東浩
医学博士 日本統合医療学会四国支部長 徳島県糖質制限研究会代表 徳島大学卒業、ECFMG資格取得後、米国でfamily medicineを臨床研修。専門領域はアンチエイジング、糖質制限、音楽療法、スポーツ医学など。アイススケート選手として国体出場(1999 ~ 2003)。第9回日本音楽療法学会大会長(2009)。第3回ヨーロッパ国際ピアノコンクール(EIPIC)in Japan銀賞(2012)。日本プライマリ・ケア連合学会大会長(2017、高松)。 糖尿病関係の英文医学雑誌4誌のEditor-in-Chief(編集長,2022)。著書30冊以上、印刷物2,000以上、英語論文300以上。「新老人の会」徳島代表。 公式サイト:https://pianomed.org/