第5回:睡眠と覚醒のメカニズム(2)
~ホルモン【オレキシン】と眠気の関係~

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トップ・スペシャリスト

板東 浩

医学博士

日本抗加齢医学会評議員

日本統合医療学会四国支部長

本シリーズでは、快眠のコツについて伝授しております。

 

先月は、眠りと覚醒のメカニズムについて触れました。

その中で、

  • メラトニンが睡眠と覚醒リズムに働いていること

  • サカナやニワトリにも光を感じる「第三の眼」があること

  • 統合医療での「チャクラ」やSF漫画「三つ目がとおる」、ウルトラセブンのビームランプもモデルとしていること

 

などをお伝えしました。

引き続いて、今月は睡眠に対するホルモンのメカニズムについてお話しましょう。

- 目次 -

1.食べて寝る 影響及ぼす オレキシン
~睡眠と覚醒に関わるホルモン~

 
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あなたはたくさん食べた後、眠たくなったことがあるでしょう。

逆に、空腹になったり、体内時計で朝になったりすると、目がパッチリしますね。

これには、

  • 血糖変動の代謝系

  • 神経系

  • ホルモン系

など多くのメカニズムが関わっているのです。

睡眠と深い関わりを持つホルモン「オレキシン」

医学研究の発展により、視床下部から分泌されるホルモン「オレキシン (orexin)」が発見されました。

名前の由来は食欲を意味するギリシャ語(orexis)から。

その後、睡眠と覚醒に重要な働きをすることが判明しました。

 

オレキシンは、図のように広範囲に命令を出します。

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すると、その指令を受け取った組織(受容体)は、シャキッとして覚醒しいろいろな仕事をきちんとこなすというワケ。

いわば、世の中にために善行を進んで積んでいると云えるかも。

というのは、日本語で「俺、寄進」となるからです。

2.空腹や 気持ちの高ぶり 覚醒へ ~覚醒を促す3つの要素~

 
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そのオレキシンを活性化させる3大要素があります。

 

  • 栄養状態で空腹という刺激

  • 体内時計で朝になったという刺激

  • 心理状態で気持ちが高ぶったという刺激

 

これらの刺激を受けると、オレキシン分泌が増えて、覚醒の状態を保持するのです。

 

つまり、オレキシンが存在すると、脳が目覚めて活発に活動できます。

逆に、作用が弱いと、覚醒状態を維持できず眠ってしまうことに。

関連して、ナルコレプシーという突然眠ってしまう病気もみられます。

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3.受容体 ブロックすると 良き眠り ~睡眠薬のメカニズム~

 

オレキシンが働くためには、オレキシン受容体と呼ばれる部位に結合する必要があります。

このメカニズムを活用して、薬によってあらかじめオレキシン受容体をブロックしておくのです。

すると、亢進している覚醒状態を抑えて、眠りをもたらしてくれることに。

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オレキシン受容体拮抗薬としてスボレキサント(Suvorexant)があり、「ベルソムラ」という名称で処方されています。

ベルソムラは 「美しい眠り」という意味で、由来はbelle(beautiful) +som(sleep)です。

 

なお、フランス語で、睡眠はsommeil、眠るはsommeillerといいます。

メカニズムの異なる2種類の睡眠薬

前回と今回で、メラトニン受容体作動薬オレキシン受容体拮抗薬について概説しました。

その大切なポイントを、以下にまとめます。

これらを十分に理解した上で、必要な場合には薬剤を服用することも可能です。

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4.よく眠り 明日への活力 漲らそう ~薬を飲む前にできること~

 

あくまで、あなたが良い睡眠を得るように考えていく順序としては、以下を参考にしてください。

 

①規則的な生活習慣

②各自による適切な心身状態の維持

③音楽を上手に用いる「音薬」を活用

④もし必要なら薬剤

「果報は寝て待て」(Sleep and wait for good luck)という諺(ことわざ)が有名ですね。

あなたが毎晩、ぐっすり寝ることが(sound sleep)、あなたの良きライフ(毎日、生命、人生)へつながっていくように祈っております。

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極上の睡眠~トップ・スペシャリストによる快眠コラム

連載第5回は、板東浩先生による「睡眠とホルモン~オレキシンと眠りの関係~」でした。

  1. 食べて寝る 影響及ぼす オレキシン ~睡眠と覚醒に関わるホルモン~

  2. 空腹や 気持ちの高ぶり 覚醒へ ~覚醒を促す3つの要素~

  3. 受容体 ブロックすると 良き眠り ~睡眠薬のメカニズム~

  4. よく眠り 明日への活力 漲らそう ~薬を飲む前にできること~

今回のおすすめ音楽

今回のコラムは脳の働きとホルモンに関するテーマでしたので、板東先生監修の「脳のストレス解消ヒーリング」シリーズをご紹介します。

”音薬”を活用し、すこやかな毎日をお過ごしください。

★次回のテーマは「睡眠と脳波」です。どうぞお楽しみに!

【トップ・スペシャリスト プロフィール】

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板東 浩

医学博士
日本抗加齢医学会評議員

日本統合医療学会四国支部長

徳島大学卒業、ECFMG資格取得後、米国でfamily medicineを臨床研修。専門領域はアンチエイジング、糖質制限、音楽療法、スポーツ医学など。アイススケート選手として国体出場(1999 ~ 2003)。第9回日本音楽療法学会大会長(2009)。第3回ヨーロッパ国際ピアノコンクール(EIPIC)in Japan銀賞(2012)。日本プライマリ・ケア連合学会大会長(2017、高松)。
糖尿病関係の英文医学雑誌4誌のEditor-in-Chief(編集長,2020)。著書30冊以上、印刷物2,000以上、英語論文250以上。「新老人の会」徳島代表。

公式サイト:https://pianomed.org/